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はしかの症状の年代別(大人/子ども/乳幼児)の特徴と違い

麻疹といえば、長引く発熱と発疹が特徴ですが、成人・子ども・乳幼児では、症状が少し異なります。

各年代に共通する症状

はしかに感染すると、10日間から12日間の潜伏期間を経て、38℃前後の熱、咳・くしゃみ・鼻水などの症状が2〜4日かけて現れます。
熱はいったん下がりますが、半日くらいで再び上昇し39.5度前後の高熱が3〜4日続きます。
このとき、耳のうしろ・首・額などから発疹が現れはじめ、全体へと広がっていきます。また、症状の初期の段階で口の粘膜に「コプリック斑」という白い斑点が現れることも、はしかの症状の特徴です。
熱が下がると発疹も治まりますが、しばらくは色素沈着があります。


乳幼児のはしかの症状

はしかの患者で最も多いのが乳幼児で、特に1歳児の感染が多くみられます。 1歳前後までは母親からの移行抗体があるため、感染することはほとんどありません。乳幼児がはしかに感染した場合、下痢や腹痛などの症状を伴うことがあります。


子どものはしかの症状

児童・生徒のはしか感染の場合は、学校による集団感染がみられます。はしかは、学校保健安全法により出席停止扱いとなる病気ですので、熱が下がった後でも、3日間までは登校を控える必要があります。


大人のはしかの症状

昔は、麻疹は子どもがかかる病気とされていましたが、近年は大人の感染も増えており、特に20〜30代前半、40代後半の患者数が多くみられます。
男女別では、男性の感染が圧倒的に多くなっています。

大人の麻疹感染の場合は、基本的な症状に加え、腹痛・黄だん・肝機能障害といった症状がみられることもあり、子どもの感染に比べて重症化する可能性が高くなるため、入院が必要になる場合もあります。
また、体の抵抗力の低下から肺炎・脳炎・心筋炎などの合併症を引き起こし、死亡するケースもあります。

したがって、大人のはしかは、子供や乳幼児に比べれば感染率は高くないとはいえ、重篤化するリスクがあることから、抗体検査をおよび予防接種を積極的に受けておくことが賢明といえるでしょう。

大人の麻疹抗体検査と予防接種の必須知識(料金など)

はしかの予防接種

はしかの最も確実な予防方法は、やはり予防接種になります。
はしかの患者に接触し、感染した可能性がある場合でも、3日以内であれば、予防接種によって発症を抑えられることがあります。

ちなみに、過去に麻疹にかかったことがある方は、体内に免疫ができていると考えられるので予防接種の必要はありません。
 
はしかの予防接種は、主に風疹と混合の「MRワクチン」として実施されており、1歳児と小学校就学前の1年間の2回無料で受けられます。

しかし、成人のになってはしかの予防接種を希望する場合は、任意で自己負担による予防接種を受けることになります。

はしかの予防接種の料金は、医療機関によって異なりますが、8,000円前後が目安になります。
接種方法は、上腕の皮下に0.5ml注射するだけですので、痛みは少なめです。

麻疹ワクチンの予防効果

麻疹ワクチン接種を1回受けた場合の予防効果は95%程度とされており、確実に予防効果を得るためには、3週間以上間隔開けて2回目の予防接種を受けることが大切になります。

はしかの予防接種の副作用としては、接種から1週間後ぐらいに軽い発熱と発疹や関節痛がみられることがありますが、それらの症状は1週間以内には治まります。

それから、女性の場合は、予防接種後3ヶ月は妊娠を避けるようにしましょう。

はしかの予防接種の効果は10年ほどで弱まることがあるため、確実にはしかを予防したいのであれば、10年を目安に再接種を受けることをおすすめします。

はしかの免疫・抗体検査

はしかに対する免疫があるかどうかは、抗体検査によってわかります。
抗体検査の料金は、医療機関によって差がありますが2000〜5000円程度が目安になるでしょう。

抗体の有無は、内科・小児科で採血し、検査センターに送った後、1週間程度で結果がわかります。
ただし、検査センターが込み合ってる場合は2週間前後かかることもあるため、麻疹が流行している時期は、抗体検査をするよりも予防接種を受けてしまったほうが適切な予防対策になるかもしれません。

ちなみに、はしかの予防接種は、免疫がある方が受けてもまったく問題はありません。

はしか感染の妊婦への影響とリスクについて

麻疹の妊婦への影響

妊娠中にはしかにかかると、流産や早産のリスクが高まることが知られています。
麻疹ウイルスに感染すると、子宮に強い収縮を起こす場合があります。
妊娠初期の段階で麻疹にかかると、流産の可能性は約30%にまで高まります。妊娠中期のはしか感染は、特に重篤化する危険性があり、突然お腹に激しい痛みを感じた後、あっという間に流産してしまう場合もあります。
妊娠中期以降のはしか感染でも、感染した妊婦中の約9%が流産・死産、約24%が早産になるという統計があります。

また、妊娠後期にかかってしまうと、分娩の際に赤ちゃんに感染するケースも考えられますから、その点のリスクを周知しておくことも大切になります。
さらに、免疫力が通常に比べて弱まっている妊婦の場合は、胎児への影響のみならず、はしかが重症化し肺炎・脳炎・心筋炎などを引き起こすリスクが高くなるという点も、ぜひ知っておく必要があります。



妊婦の麻疹予防

現在、30歳前後の女性の約30%の方が、麻疹の抗体を持っていないと推測されています。
したがって、妊娠前にワクチン接種を受けておくことが望ましいのですが、既に妊娠している場合は、はしかの流行時にはできるだけ外出を控え、マスク・手洗い・うがいなどの予防対策を徹底しましょう。
はしかの感染力は非常に強く、近くに感染者がいる場合は、ほぼ100%の割合で感染すると考えていいでしょう。もし同居家族に麻疹にかかる可能性のある方がいる場合は、必ず予防接種を受けてもらうようにしましょう。

万が一、妊娠中に麻疹にかかってしまったときは、抗生物質を服用することができないため、額を冷やしたり水分を摂ったりするなどの高熱に対する対症療法を行いながら安静にしているしかありません。

妊娠の予定がある女性は、妊娠を計画する前にはしかの抗体検査を受け、はしかに対して万全な予防対策をとっておく必要があります。

はしか・突発性発疹・風疹の違いを知る

はしかに症状が似ている病気に、突発性発疹と風疹があります。

はしか症状の主な特徴

麻疹の典型的な症状としては、発症初期の段階で口の粘膜にコプリック斑が現れること、38.5以上の高熱が出ること、せき・鼻水・結膜充血がみられることなどが挙げられます。
発疹の色は濃く、次第に赤黒くなり、最後には、こげ茶色のシミ状になってしばらく残ります。
はしかの原因となる麻疹ウイルスは非常に小さく空気中を漂うことから、感染経路としては空気感染がほとんどであるとされています。


風疹の主な特徴

風疹は「3日はしか」とも呼ばれ、春から初夏にかけて流行します。
風疹ウイルスが原因で、感染力はインフルエンザより強く、主たる感染経路は飛まつ感染になります。
風疹に感染すると、まず軽い風邪のような症状が現れ、発熱を伴います。そして、小さなバラ紅色の発疹(はしかの発疹より色は薄め)が顔から出はじめ、体全体にかけて徐々に広がっていくこと、耳のうしろや首のリンパ腺が腫れることなども、風疹の大きな特徴として挙げられます。
症状の出る期間は、麻疹に比べて短めです。
発疹が出た後は、はしかの場合はしばらく色素沈着が残りますが、風疹の場合は予後が良くきれいに消えます。


突発性発疹の主な特徴

突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルスによる感染症で、感染ルートはまだはっきりわかっていません。
突発性発疹に感染すると、38度以上の熱が3〜4日程度続き、熱が下がり始める時期に赤くブツブツとした小さい発疹が胸やお腹から現れはじめ、次第に体全体へ広がっていきます。発疹は、形状的に少し盛り上がっている点が特徴で、3〜4日程度で自然に消えます。
突発性発疹の場合は、咳や鼻水といった風邪に似た症状は伴いませんが、風邪と併発することもあります。
生後5ヶ月から1歳まで間に発症する場合が多く、生まれて初めて高熱を出す原因となり得る病気であることでも知られています。
さらに、熱が高くても比較的元気であることが多いという点も、はしかと異なる突発性発疹の特徴といっていいでしょう。
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