麻疹の妊婦への影響
妊娠中にはしかにかかると、流産や早産のリスクが高まることが知られています。麻疹ウイルスに感染すると、子宮に強い収縮を起こす場合があります。
妊娠初期の段階で麻疹にかかると、流産の可能性は約30%にまで高まります。妊娠中期のはしか感染は、特に重篤化する危険性があり、突然お腹に激しい痛みを感じた後、あっという間に流産してしまう場合もあります。
妊娠中期以降のはしか感染でも、感染した妊婦中の約9%が流産・死産、約24%が早産になるという統計があります。
また、妊娠後期にかかってしまうと、分娩の際に赤ちゃんに感染するケースも考えられますから、その点のリスクを周知しておくことも大切になります。
さらに、免疫力が通常に比べて弱まっている妊婦の場合は、胎児への影響のみならず、はしかが重症化し肺炎・脳炎・心筋炎などを引き起こすリスクが高くなるという点も、ぜひ知っておく必要があります。
妊婦の麻疹予防
現在、30歳前後の女性の約30%の方が、麻疹の抗体を持っていないと推測されています。したがって、妊娠前にワクチン接種を受けておくことが望ましいのですが、既に妊娠している場合は、はしかの流行時にはできるだけ外出を控え、マスク・手洗い・うがいなどの予防対策を徹底しましょう。
はしかの感染力は非常に強く、近くに感染者がいる場合は、ほぼ100%の割合で感染すると考えていいでしょう。もし同居家族に麻疹にかかる可能性のある方がいる場合は、必ず予防接種を受けてもらうようにしましょう。
万が一、妊娠中に麻疹にかかってしまったときは、抗生物質を服用することができないため、額を冷やしたり水分を摂ったりするなどの高熱に対する対症療法を行いながら安静にしているしかありません。
妊娠の予定がある女性は、妊娠を計画する前にはしかの抗体検査を受け、はしかに対して万全な予防対策をとっておく必要があります。